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明日という名の奇蹟

 ~ 脳がうんにょりするネトゲBlog ~

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残念小説「うそつき」

俺は、帰ってきてはいけなかったのかもしれない。




もう、1年くらい経つだろうか。
俺は久しぶりにここ、レグルスの地に降り立った。
風のうわさで、レグルスがなくなると聞いたからだ。

久しぶりに眼前に広がる景色は
もう捨てた故郷とはいえ、やはりどこか懐かしく、そしてさびしかった。
放置露店でごったがえしていたアンティカ1CHにみる影はなく
また、エリア募集どころか
チャットウインドウにログが流れることすら極めて稀だった。

「おかえり!」

そんな中、飛び込んできた黄色のチャット。
星ともからだった。

・・・あいつ、まだ星とも解除していなかったのか。

彼女はすぐに飛んできた。
きらびやかなアバターは俺の知らないものだったが
人懐っこい、子犬のような笑顔は
俺の知ってるものと何ら変わるところはなかった。
少し話をした後、「ラビに行こう」と言われ、
あまり気は乗らなかったが久しぶりだったし、
正直、もう会うことはないかもしれないと思い、つきあうことにした。



ラビを回ったあとも、1年分の隙間を埋めんばかりに彼女はしゃべった。
新しいペットのこと、アバターのこと、居なくなっていくプレイヤーのこと。
ついには「クラメンの中に『星ともになってくれ』としつこく言ってくる人がいる」
なんて話まで飛び出す始末だ。
「なればいいじゃないか」と言うと
彼女は「その人はクラメンだけど、あまり好きではない」と言った。
クランメンバーだから無下にも出来ないけど、でも星ともにはなりたくない。
クランを抜けることも考えたが、今のレグルスの現状を考えると
「クランを抜ける=PTが組めなくなる」ことが怖くて、抜けられないの、と。
幸い、俺はクランを除名になっていなかったので
「俺がマスターに話をしてやろうか?」と言ったが、
マスターや他のメンバーに迷惑や心配はかけたくないのだと言う。


 「ねぇ、もうしばらく・・・数日でいいからインできない?」
 「まぁ、できなくはないけど」
 「その人はあたしの星とも枠、半引退の星とも・・・あなたが1枠、
  あとの2枠は花蜜用の自前キャラだって知ってるの。
  で、いつも『1年も戻ってこないヤツなんか消しちゃえ』って言われてる」
 「・・・」
 「だから、ちょっとの間でもあなたが戻ってきてることを知れば
  もう『そいつを消せ』とは言わなくなると思うの」


俺は復帰をする気はなかったが
今まで1年も放っておいた責任のようなものを感じ
もうしばらく、この世界にとどまることにしたのだ。





数日後。
彼女はログインしていなかったが、
仮復帰後、初めてクランマスターがインしている現場に居合わせることができた。
「ひさしぶり」なんてありきたりな会話を交わす。
そして少しためらった後、俺は意を決して口を開いた。


 「なあ、アイツに言いよってるっていう、クランメンバーのことなんだけど」
 「ん?誰のこと?」
 「えーっと・・・わりぃ、名前は聞いてなかったけど、とにかくアイツに
  『星ともになってくれ』って言いよってるヤツがクランにいるらしいんだ」
 「おかしいなぁ、それはないと思うけど」
 「どうして?」
 「今、ウチのクランいる、アクティブな男性キャラはキミくらいだよ」


どういうことだろう。
クランに男性キャラがいない・・・?
俺が休止していた1年の間に
女性キャラ同士で星ともになれるようにでもなったのか?いや。

そして、俺は答えにたどり着いた。




最初から、そんなヤツはいなかったんだ。




俺は、無駄に彼女の心をかき乱してしまった。
俺は、無情な期待を持たせてしまった。

俺は、帰ってきてはいけなかったのかもしれない。




 「ね、ねぇ、待ってよ!」
 「ん?なんだ?」
 「持ち物・・・クラン倉庫にみんな入れたでしょ?
  もう来ないつもりなの?」


俺は一呼吸おいて、口を開いた。


 「いや、少し間があくかもしれないけど、また来るよ」 
 「そう・・・」
 「じゃ、な」
 「うん、またね」


############################


彼は、行ってしまった。
目の前には、「ログアウトしました」という、無機質な文字。
彼は気づいていないだろう。おそらく、無意識なんだと思う。


少し間があくかもしれないけど、また来るよ--- 


一年前も同じこと、言ったんだよ?

あたしは、ひとりぼっちの部屋で、小さく独白した。





「うそつき」
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無題

・・・え、オチはΣr('□'n)
  • オフィーリア さん |
  • 2010/12/02 (22:30) |
  • Edit |
  • 返信

Re:無題

「残念な部分がない」のが残念なことになっておりますw

あとは「うそつき」なのは「彼女」とみせかけて
実は「彼」というどんでん返し・・・これじゃ普通の小説ですねw
  • from 小岩井よーぐる |
  • 2010/12/03 (18:58)

そらオチは

もちろん次回だろ
  • ごんざ さん |
  • 2010/12/03 (11:55) |
  • Edit |
  • 返信

Re:そらオチは

次回作など、ないっ!w
  • from 小岩井よーぐる |
  • 2010/12/03 (18:59)
  

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プロフィール

HN:
小岩井よーぐる
職業:
会社員/主婦
自己紹介:
愛に飢えた寂しい子ども時代を
過ごした女の子。
髪は赤毛でそばかすだらけ、
感受性が豊かで、おしゃべり。
悲しいことも得意の想像力で
喜びにかえていく。
死神リュークが地上に落とした
デスノートを拾ったことを契機に
新世界の神になる事を決意する。
現在、FF14にて世界征服中。

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